通勤電車の思い出
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今回は、ふと思い出した通勤電車での出来事についてお話してみたいと思います。
その当時、私はあるローカル線で通勤していました。そのローカル線は、沿線の高校の生徒が通学に利用していて、毎日多くの学生と乗り合わせたのですが、なかなかに個性的な学生が多かったのです。
まず思い出すのは、女子高生の制服のスカートが恐ろしくミニだったこと。そして素足にぺらぺらのゴムのサンダル。胸のボタンも大胆に外していて、「あんた、海水浴帰り?」と聞きたくなるような格好。楽しい学生生活をおくっているんだろうなあと思いました。
そうかと思えば、ある時ボックス席で向かい側に座った女学生。
二人掛けの席の真ん中にあぐらをかき、片膝を立てて携帯(その当時はスマホではありませんでした。)を覗き込んでいます。ものすごく迫力があって、私は怖かったので目を合わせないようにしていました。
男の生徒も負けていません。
仕事帰りのある日、変なスタイルに改造した制服を着て、あたりかまわず大声で話をしている男子生徒たちがいました。うるさいったらない。しかし、他の乗客はうつむいて我慢していました。
そのとき、一人のおばさんが立ち上がったのです。なんの特徴もない小柄なおばさん。
そのおばさんが、うるさく騒いでいる三人の学生の頭を、ぱん、ぱん、ぱん、と平手ではたいたのです。
「おとなしく乗っとりんしゃい!」
おばさんの言葉に、男子学生は声もなくうなだれています。
どういう事?と思いましたが、たぶんこのおばさんはこの学生たちの高校の先生なのだろうと思い当たりました。
毅然としたおばさんの態度に、なかなかに頼もしい先生だなあと思った次第です。
今回は小説にしたかったけど小説にならなかったエピソードを書いてみました。