身体について考える
蝸牛性メニエールは、内耳にある蝸牛管の中に異常に水が溜まるために発症するそうである。耳が塞がれたような症状で、音が遠くに聴こえる。処方されるのはステロイド剤を数日。その後は余分な水を抜く薬を出される。原因はいまでも解明されていない。聴覚としては、低周波域が下がる特徴がある。
私たち生物は海の中で生まれ、世代を経て地上に上がり生活を始めたという。その名残はいまも私たちの体内に宿り、体液の塩分濃度と海のそれとは殆ど同じだと聞いたことがある。
私がこの病気にかかって耳が塞がれた様は、海に潜った時の耳の感覚に似ていた。もがいても、もがいても、近くのものが遠くに感じてしまうあの感じだ。早く地上に戻りたいという感じだ。
また、腰が痛くなるのは誰にもある症状だ。こんな時、一番楽な姿勢は横になり膝を抱くように丸くなることだ。人類の祖先は四つ足で歩いていたが、進化し二本足で歩くようになったことは学校でも習った。腰に痛みが出るようになったのは、二本足になったことと関係していると誰かが言っていた。四つ足になったように体を丸めると楽なのも、そうした理由からかもしれない。
何か訳の分からぬ話だけれども、人類の進化の過程に我の病の要因があるとすれば、病気と向き合うのも、またおかしである。
チャラストラ(九州文学同人)