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お知らせ

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本はタイムカプセル

暗闇の中で、頭の中のモヤモヤを文章に実体化させようと、試行錯誤の末紡ぎ出された文章が、ようやく『九州文学』に掲載され、各方面に送り出されていきます。
そして年月がたち、『九州文学』も、本箱の片隅に置かれて、いつしか忘れ去られていきます。
しかしある時、その孫だか親戚の子供だかが、なにかの拍子に、本箱の片隅で日に焼けて黄色くなった「九州文学」を手に取る。
「おじいちゃんが昔どこかの雑誌に属していて、文章を載せていたんだって」と言っておじいちゃんの事を思い出す。
そして、「へえー、昔の人ってこんな生活をしていて、こんなことを考えていたんだ」と面白がる。
あるいは、「おじいちゃんの時代も今も、人の気持ちってあんまり変わらないね」と思うかもしれません。
さらには、「おじいちゃんって、馬鹿なこと言ってみんなを笑わせていたけど、意外にまともな文章を書いてたんだね」と思ってくれるかもしれません。
ずっと先の時代の誰かわからない人が、もしかしたら自分が書いた文章を読んでくれるかもしれないって思う事って、嬉しいじゃないですか。
こればっかりは、電子書籍じゃできません。
電子書籍と違って、物理的に実態のある「本」には、その本ができた瞬間の「時間」が詰まっています。本はタイムカプセルみたいに、時代を超えて「あの時の作者」と「今の読み手」を繋ぎます。
九州文学は、各図書館、各新聞社、相互に受贈している同人誌に毎号お送りしております。
毎号毎号、ささやかながら、同人が持てる力を出し切って紡ぎ出した文章を載せております。
どうかお捨てにならないで、本棚の片隅に末永く置いていただけたら幸いです。

九州文学編集長 木島丈雄

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