スリランカの宗教感(スリランカの旅②)
仏陀が悟りを開いた時に座っていた、菩提樹の分かれ樹が祀られている寺院がある。スリランカのスリーマハ寺院である。スリランカでは誰しもが一度は訪れたい聖地でもあるらしい。この寺院は、真っ白の衣服でないと立ち入る事が出来ない。ふと、横を見ると、チャドル(頭から体を覆う服)を着た一団が居る。イスラム教徒の小学校の修学旅行のようだ。え?と目を見張った。チャドルがすべて真っ白なのだ。通常、チャドルは黒が多い。しかし、この寺院に足を踏み入れる為だけに、わざわざ白のチャドルを用意して着ているのだ。驚く私に「それぞれの宗教にきちんと敬意を払うのがスリランカの人々だ」と、カスン君は言う。
更に、カスン君はナーランダ―の遺跡に案内してくれた。ナーランダ―の遺跡は、図ったようスリランカの中央に位置するとの事。古代人がどのようにして位置を図ったのか、は今でも謎らしい。そして、そこは、仏陀とヒンドゥー教の神々が共に祀られている遺跡だった。壁面一杯に、仏陀の像とヒンドゥー教の神々の像が埋め込まれていた。仏教とヒンドゥー教が融合された、世界的にも珍しい遺跡なのだそうだ。スリランカでは、仏教徒が殆どだが、少数派として数えられるヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒、と共に、互いに互いをリスペクトする姿勢が根付いていると言う。
サンスクリット語で、スリランカとは「光り輝く島」という意味らしい。その名の通り、光輝く宗教感に魅了された一日だった。
白(九州文学同人)