スリランカの世界遺産、仏歯寺(スリランカの旅③)
仏陀の歯が収められている、世界遺産「仏歯寺」を巡った。仏陀の歯を守る事こそが、スリランカ王朝の証だったとの事。仏陀の歯は、1年に1度、像の背中に乗せられペラヘラ祭りの中、町を行脚する。像はとてもよく訓練されており、像がきちんと足を折ってお辞儀する姿に、世界中の人々が感動する。スリランカには、世界唯一の像の孤児院がある。親を亡くした像がここに引き取られ、国によって飼育される。世界一、像を大切にする国がスリランカだ。仏教の教えがこういう所に根付いているのだろう。
ふと、蓮の花を手に持ち熱心にお参りするスリランカのお爺さんが目に入り、祖父を思い出した。私の祖父は、とても信心深く、私には仏教教育に熱心な女子高校に進学するよう薦めた。しぶしぶながら、祖父が薦めた高校に進学した私だったが、入学時に配られた仏教聖典を今でも大切に持っている。この聖典は、仏陀の教えが事細かに記載されており、半世紀を超える私の人生を大いに導いてくれた。
私がスリランカの仏教の聖地に来ている様子を、祖父は天国から見ているだろうか、と思うと、この時から祖父と共にこの仏歯寺を巡っている気分になった。最後に、仏歯寺の国営土産店で祖父のおもかげを感じさせる、仏陀の小さな石像を購入した。この祖父仏陀は、現在、自宅リビングのガラスケースに鎮座し、私達家族を見守ってくれている。かけがえのない思い出となった、スリランカの旅の話である。
(白)(九州文学同人)