スリランカでの結婚式①
九州文学はコラムページを設けており、同人が様々なコラムを寄せてくれています。
一部はこのHPの立ち読みコーナーでも紹介していますが、面白い読み物なので多くの方にも読んでいただきたく、このコーナーでも紹介したいと思います。
今回は同人の白さんのスリランカ旅行のコラムを紹介します。
ホストファミリーになったご縁で、スリランカの親善大使、カスン君の結婚式に招待された。最大都市コロンボで行われたその結婚式は、とても豪華で日本とは違う面を多々感じた。スリランカでは生花が一番のおもてなしらしく、前日から親戚の子供たちが集まり、ジャスミンの花を一つずつ糸で繋いだ花カーテンを作る所から始まっていた。壁一面、ジャスミンの花カーテンに包まれた会場では、豪華な花籠が所狭しと配置され、その溢れかえる生花の匂いに、花酔いするかのようだった。
200人を超える招待客だったが、新郎新婦席前の中央テーブルは家族席だった。スリランカでは、家族が一番大切とされ、特に年長者には最大の敬意を払う。私は日本のホストマザーとして両親と同席に数えられ、2000年続くと言うインダス文明時の結婚の儀式を、家族と共に受けた。生花で飾られたポールという1メートル四方位の祭壇の上に乗った新郎新婦に、白装束の祭司がブラッドという葉っぱの束を手渡す。ブラッドの中にはコインが隠されており、新郎新婦はそのブラッドを家族の一人一人に、作法に沿いながら丁寧に手渡す儀式が行われた。
日本の結婚式と決定的に違うのは、招待客の扱いだろう。スリランカでの結婚式では、まず家族が主役で、仕事関係者ほど席が遠くなる。家族が末席で、ひたすら招待客に気を遣う日本の結婚式とは大きく異なる。本来、結婚式とはこうあるべきかも知れない、と思わせてくれた、スリランカでの結婚式の話である。