九州文學の歴史

創刊から現在まで

九州文學は1938年、福岡県を中心に活動する火野葦平、劉寒吉、岩下俊作、原田種夫らによって創刊された。火野葦平は「糞尿譚」によって第六回の芥川賞を得ている。岩下俊作が九州文學に掲載した「富島松五郎伝」は度々映画化された「無法松」の原作である。その他多数の同人が芥川賞、直木賞の候補に挙げられ同人誌九州文學の全国的地位を確立した。
なお邪馬台国論争に民間研究者が発言するきっかけとなった「まぼろしの邪馬台国」(宮崎康平)も九州文學に掲載されたものである。現在でも同人は全国各地の文学賞を受賞するなど活躍している。
2015年からは世界最大のロボットメーカー安川電機と九州文學が共催して「安川電機九州文学賞」が実施されている。

九州文學の歴史

2020年11月現在

1936年 ドイツ文学者・秋山六郎兵衛らによる同人誌「九州文壇」が創刊された。
1937年 「九州文壇」を廃刊にして秋山「九州文学」を創刊。(第1期)
1938年 福岡県を中心に活動する秋山、火野葦平、劉寒吉、岩下俊作、原田種夫らの「九州文学」「九州芸術」「文学会議」「とらんしっと」などの同人誌と合同し新生「九州文学」となる。(第2期)
個性の強い作家たちを合同するために根強く説得したのは、当時福岡日日新聞の文化部長だった黒田静雄氏。「百年の計に立って、九州に展望のある広い文学風土を作ろう」という意気ごみだったという。このスタートからを「九州文学」の歴史の始めとすることが多い。
~1983年 1983年12月号第464号で休刊するまで、原田種夫、山田牙城、劉寒吉らが、編集委員として担当した。特に劉は病に倒れるまで大黒柱として「九州文学」を編集・経営面で支えた。(3期~5期)
1994年~2008年 高尾稔が「九州文学」を復刊する。通巻522号まで。(第6期)
2008年~2020年 波佐間義之が6期から引継ぎ、通巻573号まで。(第7期)
2020年7月 中村弘行が7期より引き継ぎ、運営委員・編集委員体制で動き出す。(第8期)

芥川賞・直木賞 受賞者・候補者

2020年8月現在、下記の同人が、受賞・候補となっています。

《芥川賞受賞者・候補者》

◎ 火野 葦平 「糞尿譚」文學会議掲載(S12年) 1937年第6回受賞
◎ 長谷 健 「あさくさの子供」虚実2号(S14年) 1939年第9回受賞
◎ 森 禮子 「モッキングバードのいる町で」新潮掲載(S54年) 1997年第82回受賞
〇 矢野 朗 「肉体の秋」九州文學8月号(S14年) 1938年第10回候補
〇 劉 寒吉 「翁」九州文學5月号(S18年) 1943年第17回候補
〇 福元 正實 「七面鳥の森」火山地帯83号(H2年) 1990年第104回候補

他候補同人有

《直木賞受賞者・候補者》

◎ 古川 薫 「漂白のアリア」 講談社刊(H2年) 1990年第104回受賞
〇 岩下 俊作 「冨島松五郎伝」 九州文學10月号(S14) 1939年第10回候補
〇 劉 寒吉 「十時大尉」 文芸読物10月号(S18) 1943年第18回候補
〇 原田 種夫 「家系」 九州文學11月号(S18) 1943年第18回候補
〇 堀 勇蔵 「去年、国道3号線で」 九州文學9月号(S47) 1972年第68回候補

他多数、古川薫は9回目で受賞した